こんにちは!ウェブおかやまの中西です。
今日は先行者利益について書いてみました。
先行者利益という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。
それは言葉の通り、新たな市場にいち早く参入したり新製品をいち早く導入したことで得られるメリット(利益)のことを指します。
具体的にどのようなメリットがあるか、弊社のドローン空撮事業を例にご説明いたします。
新たな市場へ
弊社は2014年にドローン空撮事業を開始しました。
当時はまだドローンという呼び名ではなく、マルチコプターと呼ばれる手作りのようなドローンが発売されたばかりで、初期投資は付属品などを含めておよそ20万円。
価格的には投資できる金額でしたが、ドローンで撮影された映像は数少なく、YouTubeにアップされている映像で参考になる映像は2〜3本しかありませんでした。思い切って購入したところ、初期の組み立て方や、飛ばし方のマニュアルが英語と中国語のものしかなく、実際に飛ばすまでにとても苦労しました。また飛ばしてもGPSなどの制御が悪く、練習に多くの時間を取られました。
安全機能も無いので練習中に電線にぶつかり池に墜落して2機目を購入(笑)
●この時点での先行者メリット・デメリットは…
- なし
- 初期投資20万円+2台目20万円=合計40万円
- 映像の質が業務に使えるものかわからない
- 日本語のマニュアルがないので組み立て、飛行のさせ方が難しい。
- 練習に時間がかかる
新たな市場であることの話題性
安全に飛行させて撮影できるようになるまでに、およそ3ヶ月ほどかかりましたが、インターネットでドローン空撮業者をリサーチしたところ、全国にまだ数社しかヒットしなかったのでウェブおかやまの事業の一つとして「空撮代行ドットコム」を創業。
ちょうどこの頃、幕張メッセで第一回国際ドローン展が開催され、一部で盛り上がりが見られてきました。
【2015年に幕張メッセで行われた、第一回国際ドローン展】
弊社では、ドローンにサーマルカメラを搭載して、イノシシや鹿の体温を感知して獣害対策の実証実験を行いました。
その他にも、ゴルフ場のコース説明でドローンを使えるのではと予想し、近くのゴルフ場にドローンを持っていったところ即契約。
岡山県では初めての事例ということもあり話題になりました。
●競合がいないことでのメリット・デメリット
- 競合がなく営業の引き合いが強い
- 価格競争をせずに比較的高い価格で販売できる
- 話題性がありウェブコンテンツの優位性が高い(検索順位上位表示)
- まだドローンという存在が知られていない(広告宣伝が必要)
ドローン事業においての転機
まだ、ドローンで何ができるか確立されていない状況でしたが、プロモーション映像でドローンを使えることが分かり、少しづつ認知もされてきた時に問題が起こりました。当時、テレビでも話題になったので覚えている方も多いと思いますが、首相官邸にドローンを飛ばして墜落させるという悪質な事件が発生したのです。
【当時のニュース速報】
首相官邸無人機落下事件 – Wikipedia >>
マスコミ各社が一斉にニュースで取り上げ、全国的にドローンは悪者という風評被害が発生しました。
この頃はドローンの練習をしているだけで、周りから白い目で見られました(笑)
しかし、良くも悪くもこの事件をきっかけにマスコミを通じて日本中に「ドローン」という名が知れ渡りました。
近所のおばあさんもドローンを知っていたので本当にマスコミの力はすごいなと(笑)
ただ、この時期はドローンが悪者になってしまったので仕事はほとんどなかったです。
しかし、改正航空法によりドローンで悪いことができなくなってから状況は一変しました。
色々な企業や自治体がドローンを飛ばしたいというニーズが高まり、一気に引き合いが増えました。
【改正航空法のイメージ】
国土交通省 無人航空機の飛行ルール >>
大手企業、テレビ局、映像制作会社、警察署、消防署、市役所などから、ドローン空撮依頼が多数あり、撮影や講習会など一気に仕事が入って来るようになりました。また、一度取引を行うことでウェブ関連や映像関連の仕事を任せてもらえるというメリットもありました。
警察署からドローン講習の依頼を受け、災害時と行方不明者捜索でドローンを活用する協定を結んだ際は、テレビニュースや新聞で取り上げられ、ウェブおかやまのブランドが高まりました。
●すでに実績を作っていたことで得られたメリット
- 技術面や価格面で主導権を握ることができる
- 小さな会社でありながら大企業や全国放送テレビ局、警察や市役所などと取引ができる
- ニュースや新聞で活動を取り上げてもらえる宣伝効果
先行者利益についてまとめ
初期投資を抑え、時間がかかる分早く始め、何ができるかアイデアを想像し、出来るだけお金をかけずに実践する。
これができれば先行者利益を狙い、できなければ後発で始めるという選択もありだと思います。
- 競合がなく営業の引き合いが強い
- 価格競争をせずに比較的高い価格で販売できる
- 話題性がありウェブコンテンツの優位性が高い(検索順位上位表示)
- 技術面や価格面で主導権を握ることができる
- 小さな会社でありながら大企業や全国放送テレビ局、警察や市役所などと取引ができる
- ニュースや新聞で活動を取り上げてもらえる宣伝効果
- 全国初、地域No.1などのシェアを狙いやすく、高いブランディング効果
- 初期の投資対効果が見えにくい
- 技術習得と存在が知られるまでに時間がかかる
- 何ができるか確立されていない
弊社のような零細企業は先行者利益を狙っていき、大手企業は先行者が開拓した市場を後発で狙うのが一般的な図式になります
まとめとして、最大の先行者は地域No.1を狙える、競合が最大のリスクはせっかく開拓した市場を大手企業にごっそりと持っていかれることだと思います。
ですので、先行者は市場は最終的に大手企業(資金を持っている人)に持っていかれることを前提にプランを作る必要があります。それは市場が成長したら事業をやめる引き際を決めておいたり、大手企業が入ってこれない(入りにくい)分野で市場を作ることです。
それができれば、先行者利益は絶対に狙っていくべきだと思います。